堀越英美著
 女の子が好きな色、女の子らしい色といえばピンクが定番と思われてきたが、そもそもなぜ女の子=ピンクというイメージが定着したのか?いわゆる「ダサピンク」現象(ピンク=ダサいではなく、女性はピンクが好きな物、可愛いものがすきなものだという認識で商品が作られ残念な結果になる現象)も起きた昨今、ピンクが女らしさ・男らしさにもたらした功罪を国内外の事例を取り上げ掘り下げていく。
 女の子=ピンクというのはフランスが発祥だそうで、それほど歴史が長いわけではない(男の子=ピンクの国もあったし、そもそも昔は持ちのいい染料は高価だったので洗う頻度の高い子供服は白一択だったそうだ)。それが今やというかいまだにというか、女の子といえばピンク、女児玩具売り場はピンク水色ラベンダー色。親がキラキラファンシーを好まなくてもいつの間にか好むようになることが往々にしてあるというから不思議だ。幼い子供はピンクを好みやすいという統計もあるそうだが、社会的に「そういうもの」とされていることの根深さ、ピンクを好む女性が世の中では好まれるとされている影響がやはり強いのだろう。ピンクという色は単に色でしかないのだが、そこに加味される意味合いが女性に複雑な気持ちを抱かせ、男性をピンクから遠ざける。本来単なる色なんだから、男女とももっとフラットにピンクと付き合える世の中になるといいのに…。
 その一方で女児向け玩具の変化(バービーの職業や体形が多様化したり、理系実験キットが人気だったり)が著しかったり、男の子もピンクを着ていいじゃないかというムーブメントが海外では起きていたいるする。特に玩具業界における変化についての記述が面白かった。男らしさ女らしさという枠組みは昔よりはゆるやかになり、少しずつだが世界は変わっていくのだ。とは言え、日本は他国に比べて数周遅れているのが辛いが…。