ネレ・ノイハウス著、酒寄進一訳
 犬の散歩中の女性が射殺された。翌日、森の脇の家で女性が窓の外から頭部を撃たれて家族の前で死亡。さらに数日後には若い男性が玄関先で心臓を撃ち抜かれた。どの狙撃も難易度が高く正確なことから、射撃のプロの犯行と思われた。そして警察署に「仕置き人」と名乗る死亡告知が届く。被害者たちはなぜ選ばれたのか。刑事オリヴァーとピアは年末の町を奔走する。
 オリヴァー&ピアシリーズ新作。性別関係なく同僚、上司と部下としての敬意と思いやりのあるコンビネーションは健在でやはり良い。ここのところ女性関係でフラフラしっぱなしで頼りなかったオリヴァーだが、本作ではだいぶ復調している。とは言えまた次の波がやってきそうなんだけど…。女性に対してはいまひとつ洞察力に欠ける。一方ピアはパートナーとのバカンス返上しての捜査。バカンスよりも捜査を選んでしまうところに彼女の人柄と仕事への誇りが窺えるし、それをパートナーが理解しており信頼関係が揺らがないというところが素晴らしい。オリヴァーもあやかれよ…。また有能すぎる(元々仕事できる人設定だからそりゃあ有能なのだが)被害者遺族も登場する。警察側の捜査よりもむしろ、彼女の奮闘がストーリーを前に進めていくのだ。
 今回は連続殺人事件で、被害者の共通点から犯人の動機をあぶりだすという所がポイントになる。終盤になってバタバタと新事実が判明するが、その原因が非常に基本的な確認の不十分にあるという所が笑えない。ご都合主義的とも言われるかもしれないけど、こういうことってチームでの仕事であろうとなかろうと本当にあるんだよなー!我が身を振り返りぞっとします。1人の手抜きで捜査が大幅に遅れるというのが怖すぎる。

生者と死者に告ぐ (創元推理文庫)
ネレ・ノイハウス
東京創元社
2019-10-30


悪しき狼 (創元推理文庫)
ネレ・ノイハウス
東京創元社
2018-10-31