ミュージシャン・細野晴臣の歴史を追う、デビュー50周年記念ドキュメンタリー。幼少期の音楽との出会い、はっぴいえんどやYMOの活動を経てソロへと至る痕跡を、本人へのインタビューや当時の映像、2018年から2019年に実施された海外公演の映像を織り交ぜ追っていく。監督は佐渡岳利。
 全体の構成も編集もどこかぎこちない。特に作中に流れる各楽曲のフェイドアウトのさせ方がちょっとぶつ切りっぽいのが気になった。ただ、このぎこちなさはあえてなのかなという気もする。流暢すぎない、完成品として収まりが良すぎない方が、被写体に合っているように思う。
 細野の子供の頃のエピソードからは、彼の音楽のルーツや、環境の持つ影響力の大きさが感じられる。戦後まもなく生まれてまだ隣家は焼け跡のままだった、戦争に行かなくてすむことが心底嬉しかったという話や、母親が音楽好きで自宅でよくレコードをかけていた(ベニー・グッドマン「sing,sing,sing」を太鼓の曲と呼んでお気に入りだったとのこと)、叔母宅の向いに住んでいる女性がパラマウント社勤務(当時でいったら相当なキャリアウーマンということだろう)で、会社から持ち帰った映画のサントラ盤をよく聞かせてもらったとか。やっぱり環境って大事なんだな…。父親が意外とユーモアがあってダンスやコメディが好きだった(フレッド・アステアにあこがれていた)というのも面白かった。細野のお笑い好きや意外と動きの切れがいいあたりはこのへんにルーツがあるのか。
 細野の音楽の変遷を追うという面では、YMO以降のアンビエント、ワールドミュージックへの傾倒にはあまり言及されておらず中途半端だし、ライブ映像は正直なところもっと見たかった。とは言え、ライブのゲストで高橋幸宏がドラムを叩き、そこに坂本龍一が飛び入りというシーンには多幸感が溢れる。いろいろあっただろうけど仲良くてよかった…。一緒に仕事をしていたミュージシャン同士は、ずっと会っていなくてもいざ会うと昨日会ったみたいに演奏できるという言葉も印象に残った。

HOSONO HARUOMI Compiled by HOSHINO GEN(2CD)
細野 晴臣
ビクターエンタテインメント
2019-08-28


HOSONO HARUOMI Compiled by OYAMADA KEIGO(2CD)
細野 晴臣
ビクターエンタテインメント
2019-09-25