アンドリュー・メイン著、唐木田みゆき訳
 モンタナ山中で調査にあたっていた生物学者のセオ・クレイは、突然警察に拘束された。すぐ近くで、かつての教え子が他殺死体となって発見されたのだ。セオの嫌疑はすぐに晴れ、遺体に残された傷から熊の仕業だと判断された。しかしセオはその結論に疑問を持ち、独自の調査を始める。
 「犯人は熊ではない!」というパワーワードが帯に載っているせいでこれはコメディなのか?!と思ったが、いたってシリアス。クレイは生物情報工学という自身の専門分野に基づききわめて理論的に謎に迫っていく。が、そのモチベーションやアプローチの仕方ははたから見ると奇妙に思えるかもしれない。彼は人間として一般的な倫理観や感情を持ち、正義を行いたい一心で真相を追うのだが、行動までの経路が短すぎ、あるいは独特すぎて唐突に見える(かつての教え子の死因に疑問があるからといって、一般的にはいきなり血液サンプルを盗んだりしないだろう)。調べる為の知識とツールがあるって強いな…。彼がどのような研究をしていてどういう知識を持っているかわかると、その行動経緯もそんなに奇特には見えないんだよね。
 ヒーローというほど強くはないがユニークな思考の道筋と知識を持っている探偵の登場。本作がシリーズ一作目だそうだが、続きが気になる。