金曜日の夜、友人たちと別れたラッセル(トム・カレン)は一晩付き合う相手を探しにクラブに立ち寄る。なんとなく惹かれたグレン(クリス・ニュー)を連れて帰宅し、セックスし、週末を共に過ごす。お互いに距離が縮まっていくが、土曜日の夕方、グレンはあることを告げる。監督はアンドリュー・ヘイ。
 かなり地味かつ地に足の着いた作品。3日足らずの出来事なのだが、もっと長い期間の話に感じられた。2人の間に流れる時間の速度が速いのか、密度が高いのか。関係が濃密というのではなく、むしろ付き合い始めの、好きなのかどうかまだ定かではないくらいの淡さではあるのだが(まあセックスはしてるけど)、お互いの出方を探る感じ、関係が固まっていない危うさから目が離せなかった。ラブストーリーではあるのだろうが、そう言い切っていいのかどうか迷ってしまう。
 ラッセルは自分がゲイであることを周囲の人間にはオープンにしている。友人たちもそれを受け入れており、一見フラットな付き合いだ。しかしそれでも「家にいる時は自分がゲイであることを意識することはない、でも外に出ると意識せざるをえない」というようなことを言う。本当にフラットな世の中だったらセクシャリティをいちいち意識する、他人の目を気にすることはないんだろうけど(実際、異性愛者の人は日常生活の中で自分のセクシャリティを強く意識する、どう見られているか気にすることはあまりないだろう)。現状、世の中は異性愛前提で作られているしその中にいる人たちも異性愛前提で考えてしまうよなとはっとした。そしてごく親しい人との間であっても、その部分のギャップは理解しあえないし話せない領域がある。グレンがセックスした相手の「語り」を収集し続けているのは、他の人たちはどうなんだろう、周囲との折り合いはつくものなんだろうかという思いがあるからかもしれない。
 ラッセルとグレンは付き合い方に対するスタンスは異なるし、愛、恋愛についてのスタンスも異なる。自分の中のどこまで立ち入らせるかという一線の引き方はひとそれぞれで、その部分でせめぎあいが生じる。ラストシーンに胸を打たれたのだが、そのせめぎあいと受け入れがありありと見られるのだ。

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