山間の村と町の間を流れる川で船頭をしているトイチ(柄本明)。川上に橋が建設されることになり、村人たちは両岸の行き来が楽になると完成を心待ちにしていた。ある日、トイチは川を流れてきた意識不明の少女(川島鈴遥)を助ける。身寄りがない少女と共にトイチは暮らし始めるが。監督・脚本はオダギリジョー。
 風景がとても美しい。新潟のロケだそうだが、こんなに水が澄んだ川が流れているのかとちょっと驚いた。撮影監督はクリストファー・ドイルというのも大きい。青の色味に透明感があって鮮やかだ。また、ワダエミによる衣装も風景に映える。日本の伝統的な着物からちょっとずらしたデザインで、日本であって日本でないような、どこの国とも言えないようなファンタジーっぽい雰囲気を醸し出している。この「日本ファンタジー」的な美しさは良し悪しでもある。あまりにエキゾチック趣味、海外で好まれる日本のイメージ(日本人が見るとちょっと嘘くさい)に寄せすぎなように思った。とはいえ、海外展開を狙うのならこれで正解なのだろうが。
 ちょっと余計な要素が入りすぎな所もあったが、初脚本・監督作としては堂々とした出来で、オダギリジョーの新たな一面を見た感がある。出演俳優はとても豪華。ただ、全員顔に強さがある人なのでずっと見ていると少々うるさくて疲れる。抜け感みたいなものがないのだ。その中で永瀬正敏のニュートラルさは貴重。やはりいい俳優なんだな。
 時代に取り残されていくもの、世界の端っこで生きるものの悲しみが描かれている。時代に乗れる人は当人にとっては成功なんだろうけど、取り残されるものにとっては時に残酷にふるまう。トイチになついていた青年の変容は、本人に全く悪気がなさそうなだけに無情さが際立つ。ただ、トイチはこの世で生きることをあきらめたわけではないだろう。どこかへ向かう彼らの姿は物悲しいが、全く未来がないというわけではないように思えた。

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