自宅や別荘などプライベートなサウナから、街中の公衆サウナまで、様々なサウナが息づく国フィンランド。その様々なサウナで語らう人たちの会話を追ったドキュメンタリー。監督はヨーナス・バリヘル&ミカ・ホタカイネン。
 フィンランドはサウナが盛んという話は聞いていたが、サウナの形態が本当にそれぞれでバラエティに富んでいる。いわゆる北欧の「サウナ」と聞いて連想するようなウッディでこじんまりとした個人宅のものから、森の中の小屋、テント風、キャンピングカーや電話ボックスを改造したもの、街中にある公衆サウナや軍や企業の設備まで。日本のお風呂みたいな感覚で使っているんだろうな。中の温度湿度もまちまちみたいで、サウナといえば汗!というわけでもないみたい。サウナの中では暑すぎ湿度高すぎでゆっくり語らうなんて無理では?と思っていたけれど、これなら大丈夫かなと納得。あまり汗をかいていない人もいる。
 最初に登場する夫婦を除き、登場するのは男性ばかり。そして、かなり立ち入った、その人にとってデリケートなものであろう話をする人が多い。映画の構成として編集時にそういうエピソードをピックアップしているのかもしれないが、サウナだとそれこそ裸の付き合いで話しやすいのだろうか。他にすることないしな…。家族との死別や、子供に会えない(親権を取り上げられた)という話が多い。皆普通の人だし意識してうまく話そうとしているわけではないから、ぽつぽつとエピソードが出てくるという感じなんだけど、ぎこちないからこそダメージの深さの深刻度がわかる気がした。
 北欧は男女平等、ジェンダーのフラット化が進んでいるというイメージがあるが、フィンランドでは男は男らしく、人前で泣くなんてみっともない、弱音をはくな、という文化が根強く残っているようだ。喪失による痛み、悲しみなど心のやわらかい部分を明かせる場がないのだろう。サウナのような密閉空間だと、かろうじてそういう話がしやすいのかもしれない。


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ヴェサ・マッティ・ロイリ
エプコット
2015-03-06