ロバート・ロプレスティ著、高山真由美訳
 ピザショップの常連客である正体不明の男。彼を探しにあやしい奴らがやってきた、「ローズヴィルのピザショップ」。ある家族とアメリカという国の姿が垣間見える「消防士を撃つ」、コーヒーショップで起きた殺人事件を饒舌な名探偵が解決する「赤い封筒」。ノンシリーズの中短篇を収録した作品集。
 味わいも方向性もそれぞれ違う作品を収録しており、統一感はそれほどない。ただ、殆どの作品で本格ミステリならではのロジカルなトリックが仕込まれている。こういう翻訳ミステリの短篇集って近年あまり日本で出版されないので(特に文庫という手に取りやすい形態では)結構貴重なのでは。軽快なアクションサスペンス映画の1シーンのようでもある「ローズヴィルのピザショップ」は楽しい。出てくる人全員が老若男女ちゃんと活躍する。また、軽快で軽めの作品が多い中、アメリカの負の歴史が背景にある「消防士を撃つ」は、少年の語りの瑞々しさがある一方で深い陰影を見せる。個人的に気に入っているのは一風変わった一人称語りの「宇宙の中心」。幻想小説的な側面が強いのかと思ったら、ちゃんと本格ミステリとしての仕掛けがされている。なおボリュームのある「赤い封筒」は探偵役が非常にうざいところも含め伝統にのっとった名探偵小説だと思う。

休日はコーヒーショップで謎解きを (創元推理文庫)
ロバート・ロプレスティ
東京創元社
2019-08-09






日曜の午後はミステリ作家とお茶を (創元推理文庫)
ロバート・ロプレスティ
東京創元社
2018-05-11