柚月裕子著
 警察官を定年退職した神場は、妻と共に四国遍路の旅に出ていた。その途中、16年前に捜査に参加した事件に酷似した少女誘拐事件が起きたことを知る。神場は過去の事件に深い後悔を抱いており、今起きている事件の捜査を行っている後輩に密かにアドバイスしていく。
 新聞か雑誌連載だったのかな?と思わせる構成で、同じ説明が何度も繰り返されたり、過去と現在が小刻みに行き来したりする。連載で読んだら引きが強くて面白かったのかもしれないが、1冊の小説としてはちょっと微妙。過去と現在の行ったり来たりがあわただしいように思う。何より、神場は過去のある出来事で深く葛藤し続け、そのけりをつけようとするのだが、それ葛藤しっぱなしで退職しちゃったの?!というひっかかりがある。警察(だけではないだろうが)という組織のおかしな所、嫌な所はこういう所なんだろうなと。何の為の警察なのかという存在意義が本末転倒になっており、それを是正しようとすることにそんなに何年も葛藤しなくてはならないということがそもそもおかしいんだよね・・・。

慈雨 (集英社文庫)
柚月 裕子
集英社
2019-04-19






孤狼の血 (角川文庫)
柚月裕子
KADOKAWA
2017-08-25