1971年、ブエノスアイレス。少年カルリートス(ロレンソ・フェロ)は自分の天職が窃盗であることに気付く。入学した学校で出会ったラモン(チノ・ダリン)に魅了され親しくなるが、彼の父親はプロの泥棒だった。窃盗団に加わったカルリートスはラモンと共に勢いづいていき、ある時殺人を犯す。彼とラモンの行動はエスカレートし、連続殺人へと発展していく。監督はルイス・オルテガ、製作はペドロ・アルモドバル。
1971年のアルゼンチンで12人以上を殺害した、連続殺人事件の犯人をモデルにした作品。アルモドバルがプロデュースした割にはフェティッシュさ、セクシャルさは薄い。カルリートスのラモンに対する思いはひと目惚れのようなもので執着もあるし、ラモンもカルリートスに対してなんらかの思いはありそう。とはいえ2人の間にあからさまな同性愛描写はない(異性愛描写もわりと淡泊なのでそういう作風なのかもしれないが)。
 色濃い業のようなものを感じさせるのは、むしろカルリートスの窃盗癖の方だ。欲しいものは欲しいし、何で盗ったらいけないのかわからないから盗る、更に何で殺してはいけないのかわからないから殺すというスタンスが一貫している。ラモンは明確に金銭の為に盗みをやるのだが、カルリートスは盗みの為に盗みをやる。彼にとって金銭は副次的なものだ。2人の盗みに対するスタンスが違う、生きていく上での価値の置き場所が違うのだから、関係が破綻していくのも無理はないだろう。カルリートスにとってはラモンもまた「欲しいもの」で、だったら何をしても手に入れなくては気が済まないし、なぜそれをしてはいけないのかという発想はないということなのだろう。カルリートスにとっては何にせよ自分が基準で、世間の倫理や他人の感情は関係ない。邦題はかなり的確なのではないかと思う。
 色彩センスと音楽の趣味がすごくいい作品だった。色の組み合わせはビビッドで鮮やか。また、時々真顔でギャグをかますような妙なユーモラスさがある。実家に警察がすし詰めになっているシーンとか、すごく真面目なシーンなのに何か笑ってしまう。

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