黒人青年コリン(ダビード・ディグス)は刑務所から出所し保護観察期間もあと3日に迫った。幼馴染の白人青年マイルズ(ラファエル・カザル)と運送会社で働いていたが、ある日白人警官が黒人男性を背後から撃った現場を目撃してしまう。また、衝動的でけんかっ早いマイルズの行動が、コリンをトラブルに巻き込んでいく。監督はカルロス・ロペス・エストラーダ。
 アメリカ、オークランドが舞台だが、ご当地事情が垣間見える。住宅地の高級化が進み、若い小金持ち層が転入してきて、町の雰囲気は変わっていく。昔から住んでいるコリンやマイルズのような決して豊かではない層と、新しく入ってきた層とは文化が違い、お金がない彼らはだんだん追いやられていく。マイルズがパーティーで見せる爆発は、そういった思いが積み重なった上でのことだろう。白人であるマイルズはこのエリアではむしろ少数派として生きてきており、彼のチンピラとしての振る舞いは周囲に溶け込みなめられない為の自衛でもある。が、最近転入してきた人たちには、「黒人不良の真似をしてイキってる白人のにわかチンピラ」に見えてしまう。住民層に対するステレオタイプ+経済格差によって見えなくなっているものがあるのだ。
 コリンの恐怖にしろマイルズの怒りにしろ、自分のバックグラウンドを知らない奴らに好き勝手言われたくない、お前らは俺の何を知っているんだという話だ。本作ではこの「お前らは俺の何を知っているんだ」というシチュエーションが繰り返される。黒人を撃つ警官も、パーティーで声をかけてくる男も、カテゴリーごとの「こういうジャンルの人ならこういうことになっているはず」という見方しかしていない。
 そしてこれは、親友であるはずのコリンとマイルズの間でも同じなのだ。同じ場所で長年一緒に過ごしていてもまだ見えない部分がある。黒人であるコリンが日々感じる緊張感は、マイルズにはわからない。同じことをやってもコリンの方がリスクが高くなる(疑われ制裁される可能性が高くなる)のは、前科者だからではなく前科者の「黒人」だからなのだ。ニガーという言葉をコリンが自分で言ってもかまわないが、マイルズが口にするのはNG(と当然マイルズもわかっている)というニュアンスにははっとする。

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