ダニエル・デフォー著、鈴木恵訳
 1632年、イングランド育ちの船乗りロビンソンは、航海中に難破し、1人きりで無人島に漂着する。船に残された積み荷を利用し、住処や道具をこしらえ、亀や鳥を捕まえ、野生のヤギを飼いならして乳を取り、麦や米の栽培を試みる。28年に渡る無人島生活が始まった。新潮文庫の名作新訳コレクションより。
 子供の頃に簡略化された本著を読んだきりだったのだが、当時の記憶と大分内容が違う!ロビンソン・クルーソーといえば無人島でヤギとオウムと黒人奴隷と暮らしていたというイメージなのだが、ヤギとオウムはともかく奴隷が登場するのは大分後半だし多分黒人ではなくてアメリカ先住民だよな・・・。しかもイングランドからの航海ではなくブラジル(イングランドからブラジルへ移住し、ブラジルの自分の農園から旅立つ)からの航海だったのでびっくり。更に意外だったのが、ロビンソンが冒頭から相当愚痴るしぼやくこと。当人の手記という体の作品なので、絶海の孤島に30年近くひとりきりだったらそりゃあぼやくし後悔しまくるだろうなとは思うが、強靭なサバイブ能力とはうらはらだ。また、無人島での生活を成り立たせる上で、イングランド式の生活を再現しようという意欲が結構強い。一人きりの孤島での生活で椅子やテーブルの用意は最優先事項ではないと思うが、ないと落ち着かないのでさっそく作る。そしてとにかく勤勉で几帳面。ピューリタニズムってこういうことだろうか・・・。計画的に働かないと生き延びることができないという事情はあるものの、働き者すぎる!自分が育った習慣、ルールに基づき生活を再現しようという方向に努力するところが面白い。
 創意工夫は旺盛だが、価値観はあまり変わらずあまり融通がきかない。この価値観の変わらなさは、当時のキリスト教文化圏の作品故だろう。本作、住まいを作ったり狩りや採集をしたりという生活の部分の描写は時代を越えた面白さがあるのだが、宗教を背景とした価値観や、先住民に関する記述の部分は今読むと相当傲慢で、なかなかきついものがある。

ロビンソン・クルーソー (新潮文庫)
ダニエル デフォー
新潮社
2019-07-26





ロビンソン・クルーソー (岩波少年文庫)
ダニエル・デフォー
岩波書店
2004-03-16