16歳の帆高(醍醐虎汰朗)は、離島から家出し東京にやってくるが、すぐに資金が尽き仕事もみつからず途方に暮れていた。船で出会ったライターの須賀(小栗旬)を頼り、彼の事務所で住み込みのアシスタントを始める。ある日であった少女・天野陽菜(森七菜)は「100%の晴れ女」だった。2人は晴れを届ける商売を始めるが。監督・脚本は新海誠。
 プロデュース川村元気、キャラクターデザイン田中将賀、音楽RADWIMPSという『君の名は。』の布陣を引き継いだ布陣。まさかのメガヒット作の次にどんな作品を作るのかと思っていたら、基本毎回同じネタというかブレがないというか。もう自分はこのネタ一本でいきます!という開き直りを感じた。好き嫌いは別として、この度胸と作家性はやっぱり強みなんだろうなぁ・・・。10代少年のメンタルを維持し続けるというのが、
 天候の描写は本当に美しく見応えがあるのだが、本作を好き、面白いと思えるかというとちょっと微妙だった。今に始まったことではないのだが、「特殊能力ゆえに悲劇から逃れられない少女を僕が助けたい」という新海誠監督作に頻繁に出てくる願望がモロに表出しており、いまだにこれなのかと辟易した。それが作家性というものなんだろうけど、延々とやるのか…。少女に色々なものを仮託しすぎだし、主人公の少年は何も出来ないのに彼女に全面的に受け入れられすぎで、まあ都合がいい話だよなという面は否めない。ラストを、「特別な少女」を犠牲にしがちなオタクコンテンツへのアンチテーゼと見る向きもあるようだが、どちらかというと世界に対して何か決定的な影響力を持ちたい!という少年の独りよがりな願望に見えてしまった。そもそも、なぜいつも特殊能力を持ち負荷をかけられるのが「少女」という設定にするんだという話だからな・・・。自分に何もないから少女に託すんだろうけど、もうちょっと何か引き受けようよと思ってしまう。
 帆高にしろ陽菜にしろ、大人への不信感、大人のサポートを拒否する感じは何なんだろうなと不思議だった。少年少女が身を寄せ合う状況にしたいというストーリーの建てつけ上の都合とはいえ、彼らの行動原理の説明がないので不自然に感じた。ぱっと見楽しそうでもすぐに破綻しそうな生活で、ボーイミーツガール以前に大人が保護しろよと思ってしまった。本来なら、帆高と「ちょっと(不完全な)大人」である須賀たちとの生活のエピソードの方が、帆高の成長過程では重要なんじゃないかと思うんだけど・・・。女子とまともに関わるのはそのあとでいい。

「君の名は。」Blu-rayスタンダード・エディション
神木隆之介
東宝
2017-07-26





ほしのこえ(サービスプライス版) [DVD]
武藤寿美
コミックス・ウェーブ・フィルム
2006-11-17