死を迎えた消防士ジャホン(チャ・テヒョン)の前に3人の冥界からの使者が現れる。その3人、カンニム(ハ・ジョンウ)、ヘウォンメク(チュ・ジフン)、ドクチュン(キム・ヒャンギ)は地獄の裁判の弁護と護送役。死んだ人間は7つの地獄で裁判を受け、全て無罪判決を受けた者は転生できる。そして大勢を転生させると使者たちもまた転生を許されるのだという。善行を認められた「貴人」扱いだったジャホンは転生確定だと思われたが。監督はキム・ヨンファ。
 ウェブコミックの実写映画化だそうで、地獄めぐりの旅の様子や3人の使者のキャラクター造形など確かに漫画っぽい。韓国版ブリーチか?という感じ(イケメンがロングコートはためかせてるし・・・)。全体の構成も連載漫画のダイジェストっぽかった。 少年漫画っぽいのだが、人情話の側面がかなり強い、かつてらいがない所が韓国映画ならではか。親子、兄弟の情の描写はベタかつ濃厚。各地獄の大王さまたちも人情に弱過ぎて、そんなんで無罪有罪決まっちゃうの?!とびっくりする。これだったら結構な人数が無罪になって転生しているに違いない。
 とはいえこの人情部分も悪くなかった。絵にかいたような「いい人」であるジャホンが抱える罪悪感や、その弟の屈折、母の愛など、ベタはベタなのだが意外とくどくはない。本作、あの時実際に何があったのか、この人は実のところ何をしたのかというミステリが、ジャホンと母弟、弟の先輩後輩、そして本作ではまだ明かされない使者たちの生前の出来事という形で重層的に配置されているのだ。人情話はこのミステリ要素を成立させるための道具立てという印象だったので、そんなにくどく感じられなかったのかもしれない。
 本作の最大の魅力は3人の使者のキャラクターだろう。私にとっては彼らのやりとりを楽しむ作品という側面の方が強かったので、そりゃあ人情話はサブ扱いになっちゃうな・・・。リーダーであるカンニムが基本冷静なのについ情に流されてしまう様や、それがちょっと気に食わない、しかしリーダー大好き!感がにじみ出るヘウォンメク。ヘウォンメク、死者の前だと空気を読まないサイコパス感があるのに、カンニムに対してはちゃんと空気読むあたりが可愛い。そして少女の姿だがそれが単純に「年少の女性」のことで、性的なニュアンス、日本映画にありがちな少女幻想的なものをはらまないドクチュンの造形がよかった。こういう「少女」なら安心して見ていられる。第二部では彼らがなぜ死んで使者になったのかという部分が明かされるようなので楽しみ。私は基本的にサービスの盛りのいい映画はうるさくて苦手なのだが、本作はある程度記号化されているせいか、あまり鼻につかなかった。