中学生の琉花(芦田愛菜)は部活でトラブルを起こし、学校にも家にも居場所がない。別居中の父親が働いている水族館を訪ねたところ、ジュゴンに育てられたという少年海(石橋陽彩)と空(浦上晟周)に出会う。海と空は世界中で起きている不思議な海洋現象に関係があるらしい。原作は五十嵐大介の同名漫画、監督は渡辺歩。
アニメーション制作はSTUDIO4℃。
 原作の画風は、決してアニメーション向きではない、かなりタッチが細かく線描が多いもの。そのタッチを再現している作画に唸った。ペンの線描がそのまま動いている感じ。舞台の大半は海なので当然水の描写が多いのだが、これまた素晴らしかった。質感とスケール感は映画ならではなので、なるべく映画館で見た方がいいと思う。特に、ビジュアル面だけでなく音の効果にはっとする所が多かった。こちらも水関係の音の良さが目立つ。波音だけでなく水中の音の聞こえ方や、雨の中に入った時の独特な音の籠り方など、目ならぬ耳をひかれる部分が多かった。
 琉花のモノローグを多用されており、これにはストーリー展開の補助線的な役割の意図があるのだろうが、正直言ってあまり効果的とは思えなかった。原作がそうなっているからそうしたというのはわからなくはないが、余分なものに聞こえてしまった。作品自体が考えるな感じろ的なスタンスなので、言葉がどうしても上滑りになる。絵の力の方が圧倒的に強い。どう言語化しても表現しきれない、違うなーという気分になってしまった。言葉以外の方法での他者との通じ方が本作のテーマのひとつだというのも一因か(個人的には、ここが自分とは反りがあわない部分なんだけど)。
 琉花の居場所のなさは、アニメーションで彼女が動いている姿を見る方がより切実感をもって感じられた。家の雰囲気とか、父親の反応がちょっと鈍い他人事感(これは声をあてた稲垣吾郎の演技もよかった)などが微妙にいたたまれない。両親の目がもっと琉花に向いていたら、そもそも彼女が「選ばれる」ことはなかったんじゃないかとも思った。
 アニメーションの技術、演出力は非常に高くビジュアルの力があるが、正直それを越えてくるエモーショナルなもの、物語の力みたいなものは弱い(これは原作を読んだ時も思った)。人体と宇宙が繋がっている感じ、世界の神秘といったスピリチュアルというかニューエイジ的な世界観はもうフィクションの中ではやりつくされた感があって、なぜ今これを?という気分がぬぐえない。もはや一周して新鮮なの?

海獣の子供 (1) (IKKI COMIX)
五十嵐 大介
小学館
2007-07-30






鉄コン筋クリート [Blu-ray]
二宮 和也
アニプレックス
2014-04-23