ラグナル・ヨナソン著、古田薫訳
 アイスランド最北の町シグルフィヨルズルに赴任した警官アリ=ソウル。警察署長ヘルヨウルフルの妻から連絡を受け、連絡が取れなくなったヘルヨウルフルを探していたところ、町はずれの空き家で重傷を負った彼を発見する。ヘルヨウルフルの息子によると、ドラッグ売買の捜査が関係していたらしい。更に市長やその右腕が絡んでいるのではという疑いも出てきた。
 アイスランド、しかもヘルシンキではなくちょっとしたニュースがすぐに街中に知られるような小さな社会を舞台としている所が面白い。アリ=ソウルは地道に捜査をするが、決して頭脳明晰な切れ者という感じではない。上司や同僚から見ると人づき合いが今一つ悪く面白みに欠け、妻から見ると嫉妬深くキレやすい一面を持つ。完璧ではなく、欠点も多い造形が人間くさくてなかなか良かった。しかも夫婦共にちょこっと浮気しているという生々しさ。それだけ夫婦の関係が危うくなっている、そしてアリ=ソウルはその自覚が薄いという所がポイントであり、今後のシリーズ展開の中でもどうなるのか気になる。彼はまだ成長途中で、今後警官として、パートナーとして変化していくのではないかと期待できるのだ。
 作中である人物の手記が挿入されるが、これが誰のものかわかると、事件の真相がよりやりきれなくなる。この連鎖をもっと早く止められなかったのかと。

極夜の警官 (小学館文庫)
ラグナル ヨナソン
小学館
2018-07-06





雪盲: SNOW BLIND (小学館文庫)
ラグナル ヨナソン
小学館
2017-05-09