カリン・スローター著、田辺千幸訳
 若い女性の失踪事件が発生した。特別捜査官ウィル・トレントは捜査から外される。40年以上前に凶悪な連続殺人事件を起こし終身刑になったウィルの実の父親が仮釈放されたのだ。やがて発見された女性の遺体には凄惨な傷跡があった。その手口はウィルの父親のものと酷似していた。
1975年の娼婦連続失踪事件と、現代の連続失踪事件、2つの事件を交互に追っていく構成。そして75年の事件が現在にどのように繋がっているのか、彼/彼女が何者なのか、今に至るまで何を抱えてきたのかわかった瞬間、戦慄する。シリーズのクライマックスとしてとても上手い。そして次作への(少々強引かつしつこい)引きも。ウィルとアンジーの関係にはそろそろ決着をつけないとならないのではと思うのだが・・・。サラがちゃんと独立した、かつ思いやりのある大人なのでなおさらそう思う。
 現代のパートももちろんスリリング出面白いのだが、1975年パートでの若きアマンダとイヴリンの活躍には胸が熱くなる。まだ女性警官はおろか、女性が社会で活躍することが白眼視されていた時代だ。2人に対する同僚からの妨害はあまりに理不尽で腹立たしい。更にアマンダの父親の設定は結構ショッキングだ。彼女らが被害者女性達の無念を晴らそうとするのは、女性に対するいわれのない差別や憎しみと戦う、人間としての尊厳を取り戻そうとすることでもある。彼女が元々どういう性格、振る舞いの人だったのか、何が彼女を現在の人格に作り替えたのか、これまでの彼女の立ち居振る舞いを思い返すと感慨深いものがある。自分の意志で強くなった人なのだ。

罪人のカルマ (ハーパーBOOKS)
カリン スローター
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血のペナルティ (ハーパーBOOKS)
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