ダニエル・ジャドスン著、真崎義博訳
 元海軍工兵偵察隊員のトム・セクストンは、今は田舎町の工場に勤めながら、恋人ステラと平穏に暮らしていた。しかしかつての上官キャリントンから緊急メッセージが入る。かつてトムの命を救って大けがをした戦友カヒルが、激しい銃撃戦の後姿を消した、襲撃犯もいまだ不明だというのだ。トムはカヒルを捜索しろという指令を受けるが、その裏には陰謀が隠されており、トムはステラと共に事件に巻き込まれていく。
 トムは上司であるキャリントンにも、命の恩人であるカヒルにも恩義があり、同じ戦いに身を置いた者同士の絆から、彼らを信じ助けたいという気持ちがある。しかしキャリントンの行動には不審な点が多く、カヒルの行動の理由も不明なまま。またキャリントンを通じてトムに接触してきたNSAも腹に一物ありそう。トムは誰を信じていいのかわからないまま、結構なスピードで二転三転する状況に対応していかなければならない。かつての絆を信じたい気持と疑う気持ちにトムが苛まれる様に、終盤までハラハラさせられる。トムは冷静なプロとしての振る舞いを身につけているが、やはり平気ではいられないのだ。
 そんな彼を支えるのがクレアなのだが、彼女が予想外に活躍する。トムより年上で、不動産業で培った知識と生来の賢さ、人脈と度胸で難局を切り抜けトムを助ける。トムの弱点には違いないが、唯一、ストーリーの最初から信頼できる存在と言えるだろう。そんなクールでスマートな彼女でも、サブプライムローン破綻の余波からは逃げられず資産をほぼ失い、今はウィトレスをして生計を立てているというのが一番怖かったですね・・・。

緊急工作員 (ハヤカワ文庫NV)
ダニエル・ジャドスン
早川書房
2019-01-10





図説 銃器用語事典
小林 宏明
早川書房
2008-04-10