ケイト・モートン著、青木純子訳
 国民的女優のローレルは、50年前にある光景を目撃した。母が見知らぬ男性をナイフで刺殺したのだ。あれはいったい何だったのか?既に介護施設に入居し記憶もおぼつかなくなってきている母。彼女の過去には何があったのか?ローレルは過去への手がかりを探し始める。
 面白いという評判は聞いていたが、本当に面白い!続きが気になって上下巻を一気に読んでしまった。とは言え、ミステリというよりはロマンス小説的な面白さだ。2つの側面で2人の女性の対比が描かれているという構造。本作のミステリはいわゆるミステリ小説のトリック(これは結構すぐにわかっちゃう)にあるのではなく、自分の親がどのような人間なのかという謎だろう。そして、他人への憧れや思い入れ、別の人生への憧憬が生むものの計り知れなさという謎でもあるか。
 第二次大戦中をはさんだ母の過去パートと、母の謎を追うローレルの現在パートが交互に配置される。ローレルが既に壮年というところが面白い、というか親の若いころが気になってくるのは自分が年を取ってから、というところに妙な説得力があった。若いころは親は親であり、親にも青春時代、若い時代があったということがいまひとつぴんとこないんだよなと。自分もそういった通過しきってから、親が親になる前の時代を客観視できていくのかも。

秘密〈上〉 (創元推理文庫)
ケイト・モートン
東京創元社
2019-01-30






忘れられた花園〈上〉 (創元推理文庫)
ケイト・モートン
東京創元社
2017-05-21