ハーバード法科大学院に入学したルース・ギンズバーグ(フェリシティ・ジョーンズ)は女性への偏見や夫マーティ(アーミー・ハマー)の闘病を乗り越えて主席で卒業。しかし女性であるルースを雇う弁護士事務所はなかった。やむなく大学教授になったルースは、ある訴訟記録を目にし、それが歴史を変える裁判になると考える。監督はミミ・レダー。
 ルースがハーバードのお茶会で入学の動機を聞かれ、「(同じく弁護士を目指す)夫の仕事を理解する為」と言う。これは皮肉でありブラックジョークなわけだが、男性達には全く通じておらずウケるのは女性だけ。お茶会も質問もアホらしいのだが、ルースの前に自分に向いているからと回答した女性を「くだらない」とまともにとりあわない。すごく失礼なのだ。そしてその失礼さに自覚がない。これは現代でもあまり変わっていない気がする。ルースの採用を断った弁護士の言い訳も、「妻たちが嫉妬するから」というんでバカバカしい!それ自分の努力の問題じゃないの?!
 とはいえ、作中では時代は確実に変わっていく様子もわかる。ルースのハーバード時代は女性学生はごくわずかだったが、教授になったルースのゼミは女性の方が多く人種も様々。大学の校風の違いは確実にあるのだろうが、世の中も変わっている。ルースの娘がからかってくる男たちを怒鳴り付け、「怒らなきゃだめよ!」と彼女に言う。ここでルースは、時代は変わった、変革的であろうとした自分も過去の時代の慣習に縛りつけられていたのだと気付く。この瞬間が実に鮮やか。そして法もまた、時代の影響を受けないわけはない。ころころ変わったら困るだろうけど、世の中の価値観が変わったのに法はずっと過去の価値観に据え置きのままというのはやはりおかしい、というのがルースの意図だろう。過去の法律が差別の歴史になっているというスピーチは正にそのことなのだ。国が変わるチャンスを与えたい、というルースの言葉が重い。
 ルースの夫、マーティの存在がすごくいい。当時の男性としては異例なくらいのフェアさと家事分担意欲と能力。料理が上手いというのもポイント高い。彼はルースの理想ややろうとしていることを深く理解し、彼女の能力を高くかっている。しかし、良き理解者である彼でも、彼女が世の中でどういう立場に立たされているのか、彼女の怒りが何に由来しているものなのか、ぴんとこない部分がある。地位と収入のある白人男性という立場からは見えないものがあるのだ。とは言え、彼は理解できなくともルースの怒り自体を尊重している。それがすごく大事なのだ。

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