ちいさな港町で自閉症の妹・真理子(和田光沙)と2人暮らしをしている良夫(松浦祐也)。工場の仕事を解雇されて食事にも事欠く状況になった良夫は、真理子に売春をさせ日銭をかせごうとする。妹を斡旋することに罪悪感を持ちつつ、今まで知らなかった彼女の一面を目にしていくが。監督・脚本は片山慎三。
映像にはっとするような部分があるし、俳優の鬼気迫る演技はすごい。人間のかっこわるい、みっともない表情を赤裸々に見せている。しかしその赤裸々さが大分古臭い、昔のテンプレートっぽいなと思った。貧しい兄妹というのも、妹に体を売らせるという設定も、セックスによって違った面が見えてくるというのも、今これをやる必要があるのかな?という気がした。
 妹が売春をするというくだりにはイ・チャンドン監督『オアシス』に似通ったものを感じた。障害者の性を描くことが危ういというのではなく、当事者である女性の真意がどういうものであるか確認しようがないというシチュエーション、にも関わらず本人が意欲的であるという風に作劇されているところの無頓着さがどうも気になった。
気になると言えば、兄妹の世界がすごく内向きだという所も気になった。社会からどんどん乖離していく。ある程度抽象的な描き方を意図しているのだろうとは思うが、具体的にどういう仕事をしてきた人でどういう生活をしていてという部分が(食生活の貧しさ等が具体的に見せられているにも関わらず)あまり迫って来ない。貧しさと社会とが乖離している感じが気になった。
 本作に限らず日本映画で貧困を描く時、当事者の外側がないというか、どういう社会に所属していて公的な支援があるのかないのかといった視点があまりないように思う。本作の場合、貧しさを具体的に描くことが目的というわけではないだろうが、あまりに抽象的になのも不自然。貧しさが観念的すぎるし、当事者の内面の問題に帰結しているように見えてしまう。

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