長嶋有著
 女性たちを主人公にした、12編の短編集。どの作品でも、あまり小説の中では取り上げられなさそうな、言語化のしにくい部分を掬い取っている。主人公の年齢は10代から40代まで幅広いのだが、どの年齢であってもそんなに思考回路というか、「大人」度合いが変わらない感じがするところが面白い。もちろん成長するにつて色々智恵は付き、身の処し方も慣れたものになっていく。とは言え、いくつになっても自分がどの程度のものであるのか、自分のリアクションというものは上手く測れない。その予測できなかった部分が出現した瞬間を本作は描いているように思う。この瞬間、よくぞ捉えた!と拍手したくなった。感情が先にあるというというだけでなく、言語化されることで、そこにその感情があるということが確定されるという面もあるのかなと思う。言語化された瞬間、登場人物の内面でぱっと何かが飛躍する、ちょっと自由になる感じがして、鮮やか。


三の隣は五号室
長嶋 有
中央公論新社
2016-06-08