壁に塗りこまれた隠し部屋から、ミイラ化した3体の死体が発見された。過去の未解決事件専門の、コペンハーゲン警察の部署「特捜部Q」に所属するカール警部(ニコライ・リー・コス)とアサド(ファレス・ファレス)は捜査を開始する。過去に存在したある女性収容施設が関係していると睨むが。原作はユッシ・エーズラ・オールセンの同名小説。監督はクリストファー・ボー。
過去と現在が交互に入り混じる構成だが、見ていて混乱することはない。エピソードと時間軸の交通整理がきちんとされており、結構なボリュームの原作をコンパクトにまとめている。あの原作を2時間以内に収める手腕は見事。映画単体としてはいいアレンジだったと思う。出来栄えが突出してよかった映画1作目と同等の緊張感を感じた。
本作で表出するある人たちの思想は、ちょっと表現を変えるとあっさり受け入れられそうな所が怖い。自分たちが優れている、勝ち抜いた側だという思想って中毒性のある気持ち良さなんだろうな・・・。アサドが捜査陣の一員である意味がこれまでの作品の中で最も強い。
過去と現在を行き来する構成によって、ある人の怒り、そしてたどり着いた境地がより深く余韻を残す。犯行の「どうやって」という部分にはあまり言及されないが(殺人としてはちょっと出来すぎだ)、「なぜ」の部分はひしひしと伝わってくる。自分の人間としての尊厳が侵されることへの怒りがそこにあるのだ。それを受けてのカールの行動もちょっと頷ける。
最後、カールとアサドの関係が更に一歩前身しており、おおようやく!と微笑ましくなる。カールは相変わらず偏屈なのだが、アサドもローサもそんな彼のことを一貫して(時に腹を立てつつ)心配しており、こちらも微笑ましい。カールは偏屈だけど、アサドやローサの仕事能力に対してはフェアなのだ。