ジャナ・デリオン著、島村浩子訳
 凄腕CIA工作員の「わたし」、フォーチュンは潜入任務で騒動を起こし、敵対組織に狙われる羽目に。上司に一時潜伏を命じられた先はルイジアナの田舎町シンフル。「この町に住んでおり既に亡くなっている女性の姪で、元ミスコン女王、今は司書として働き趣味は編み物」という設定で暮らせというのだ。自分とは正反対の女性に成りすまし静かに暮らすはずだったが、家の裏の川で人骨を発見してしまう。保安官助手に目を付けられつつも、地元を仕切る老婦人たちに無理矢理協力させられ、人骨事件の真相を探ることになってしまう。
 「我が人生最悪の時」とでも言いたくなるフォーチュンの巻き込まれ体質には同情するが笑ってしまう。冷静・冷徹なスパイのはずなのに老夫人たちの説得に乗ってしまう脇の甘さや、無駄に軋轢を起こしそうな向こうっ気の強さを持ったフォーチュンのキャラクターが楽しいし、老婦人たちのボケとツッコミのような息の合ったやりとりと大活躍も楽しい。女性たちが皆生き生きとしており、女性の連帯がキーになった話でもある。フォーチュンが赤の他人である「叔母」に段々シンパシーを感じていく過程も(笑っちゃうんだけど)いい。一応イケメン枠として保安官助手がいるが、正直いらない気がしてきた。

ワニの町へ来たスパイ (創元推理文庫)
ジャナ・デリオン
東京創元社
2017-12-11




ミスコン女王が殺された (創元推理文庫)
ジャナ・デリオン
東京創元社
2018-09-20