アーケードゲーム「シュガー・ラッシュ」のキャラクターで天才ドライバーのヴァネロペと、親友の心優しい悪役キャラ・ラルフ。ある日、シュガー・ラッシュが故障し、廃棄処分の危機に陥る。ヴァネロペとラルフはシュガー・ラッシュを救おうと、ゲームセンターを飛び出しインターネットの世界へ。ネットオークションでシュガー・ラッシュの部品を手に入れようとするが。監督はリッチ・ムーア&フィル・ジョンストン。
 1作目はゲーム世界の「楽屋ネタ」的構造にいまいち乗れなかったのだが、本作はあまりゲーム要素がないからか面白かった。と言っても、インターネット世界の構造をビジュアルで見せる場合ってこれでいいのか?とか、ゲームやアニメのキャラクターを「キャスト」として見るのって、それこそ公式が二次創作しているみたいでちょっとなぁという気持ちはぬぐえないのだが。
 ディズニー作品にしてはかなり苦い味わい。特に中年にはしみる話ではないかなと思う。ラルフはアーケードゲームの世界に満足しており、このまま変わらないことが幸せだと考えている。しかしヴァネロペにとってアーケードゲームの世界はもう退屈で自分が成長していく余地もない。彼女が自分がいたい場所だと思えるのはインターネットの世界だ。たとえ親友同士でもやりたいことは違う、違う人生を選ぶことになるかもしれないという親友同士の物語として描かれているのだが、ラルフのルックスが中年男性なので、時代に取り残され若者に粘着しているように見えてしまう。ひいては少女に粘着するおじさんのキモさが浮き彫りになってしまっている向きがある。多分そこは製作側の本意ではないと思うんだけど・・・(アメリカ映画としてはおじさんが少女に粘着するのはそもそも論外なので、映画の描写としてわざわざ出さないだろうと思う)。
 悪役としてのアイデンティティをラルフは前作で更新したわけだが、本作で彼のアイデンティティは「ヴァネロペの親友」として固まってしまっており、ヴァネロペに依存している。ラルフはラルフ、ヴァネロペはヴァネロペでそれぞれ自立した別の存在だという意識が希薄になってしまっているのだ。他人を自分の在り方の拠り所にするのはかなり危ういことだが、ラルフも案の定、踏み越えてはいけないラインを越えてしまう。親友を尊重するというのはどういうことか、自分の生き方は自分で保たなくてはならないのだと気づくラルフは、納得はしてもちょっと寂しそう。こういう余韻のディズニーアニメって珍しいのでは。
 ディズニー世界へのメタ視線で作られた作品で、それこそ「プリンセス控室」みたいなものも出てくる。従来のディズニープリンセスへの「こうであれ」設定はプリンセス当人にとってどうなのよ、的な自己批判的メタ視線も。ヴァネロペはプリンセスであってプリンセスでない(全く王子様もパートナーも家族も必要としていないと本作でより明らかになる)、結構例外的なキャラクターだと浮き彫りになる。

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