相変わらず今年の新刊よりも昨年、一昨年の新刊を読むことが多いのだが、本のいい所は待っていてくれる所だから・・・。

1.『ノーラ・ウェブスター』コルム・トビーン著、栩木 伸明
 自分はどのような人間か、1人の女性が再度掴み直していく様が、瑞々しくユーモアを交えて描かれていた。自分の子供時代と被るところもあり余計に刺さった。

2.『ふたつの人生』ウィリアム・トレヴァー著、栩木伸明訳
 奇しくも上位2作がアイルランドの小説で翻訳家が同じだった。あったかもしれない人生が胸をえぐってくる表題作にやられた。きつい・・・。

3.『ビューティフル・デイ』ジョナサン・エイムズ著、唐木田みゆき訳
 殺伐さを感じる域までそぎ落とされた文章のスタイルが大変好みだった。ストイックだがどこかしらユーモラスさも感じさせる。映画化された作品だが私は原作小説の方がコンパクトで好き。

4.『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』ケン・リュウ編、中原尚哉他訳
 中国SFきてるな!すごく勢いとセンスの良さを感じるバラエティに富んだアンソロジー。これは今後も期待してしまう。

5.『港の底』ジョゼフ・ミッチェル著、上野元美訳
 こんな文筆家がいたのか、と新鮮な気持ちになった。1940~50年代のNYで生きる労働者たちの姿を描いたエッセイ集だが、小説のような味わいがある。その時代の街とそこに住む人々の息吹が生き生きと感じられる。

6.『花殺し月の殺人 インディアン連続殺人とFBIの誕生』デイヴィッド・グラン著、倉田真木訳
 こんなとんでもない事件が実際にあったなんて・・・。読み進めるほどに愕然とする。ある条件や先入観があれば、人間はいくらでもひどいことをしてしまう。事件の根っこは未だに深く根絶されてはいない。大変な力作ルポ。

7.『傍らにいた人』堀江敏幸著
 今年は新刊ラッシュだった著者だが、主に文学者や小説の作中の人物にスポットを当てた本作が一番読み応えがあった。優れた文学批評でもあり、取り上げられている作品を読みたくなる。

8.『IQ』ジョー・イデ著、熊谷千寿訳
 私にとって今年一番のキャラクター小説。クールかつ生真面目なIQことアイゼイアと、トラブルメーカーで俺様体質だがどこか憎めないドットソンの不協和音。続編あるようなので楽しみにしている。

9.『オンブレ』エルモア・レナード著、村上春樹訳
 表題作よりも『3時10分ユマ行き』を推したい。映画化された作品(『3時10分、決断の時』ジェームズ・マンゴールド監督)が私は大好きでですね・・・。

 帰ってきた探偵・沢崎、そして原尞先生。私にとって今年最大のイベントだったからね・・・。




ビューティフル・デイ (ハヤカワ文庫NV)
ジョナサン エイムズ
早川書房
2018-05-19









港の底 (ジョゼフ・ミッチェル作品集)
ジョゼフ ミッチェル
柏書房
2017-11-01



傍らにいた人
堀江 敏幸
日本経済新聞出版社
2018-11-02


IQ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ジョー イデ
早川書房
2018-06-19


オンブレ (新潮文庫)
エルモア レナード
新潮社
2018-01-27


それまでの明日
原 りょう
早川書房
2018-02-28