ピーター・ワトソン著、務台夏子訳
 空港のバーで出発までの暇つぶしをしていたテッドは、見知らぬ女性リリーに声を掛けられる。酔った勢いと二度と会うことのない相手だという気の緩みから、テッドは彼女に妻ミランダが浮気をしていること、彼女に殺意を持っていることを打ち明けてしまう。リリーはミランダは殺されて当然と断言し、彼に殺人の協力を申し出る。計画を立て着々と準備を進めたテッドだが、結構間近になって予想外の出来事が起きる。
 多分二転三転するサプライズ系サスペンスなんだろうなと予想していたが、予想通りに驚かせ楽しませてくれる。途中までは多くの読者が予想している通りの展開だと思うのだが、その先が、あっそっちの方向ですか?!という楽しみがあった。初対面の他人と殺人計画を練るという大味な導入だし二転三転のさせ方は結構大らかではあるのだが、ピンポイントで細かい所をちゃんと詰めている印象。最後の不穏さもいい。4人の男女の一人称で語られるので、彼らが自認している自己像と、他人がどういう風に見ているかというギャップの面白さがあった。特にミランダとリリーは、自分の見え方について、当人が意図している部分としていない部分がある。狙い通り!ってこともあるし、そんなつもりじゃなかったんじゃないかなって所も。この2人はやりたいことがはっきりしており、男性陣よりもいいキャラクター造形だった。

そしてミランダを殺す (創元推理文庫)
ピーター・スワンソン
東京創元社
2018-02-21


見知らぬ乗客 (河出文庫)
パトリシア・ハイスミス
河出書房新社
2017-10-05