カリン・スローター著、鈴木美朋訳
 刑事フェイスの母親で、元麻薬捜査課を率いていたイブリンが何者かにさらわれた。フェイスの相棒の特別捜査官ウィル・トレントは上司でイブリンとは長年の付き合いのアマンダと共に捜査を開始する。4年前、イブリンが率いる麻薬捜査課の刑事たちが汚職により刑務所に送られたが、イブリンは無罪放免となった。ウィルはイブリンも関与していたと疑っており、誘拐の動機もそこに根差すのではと考えるが。
 ウィル・トレントシリーズの時系列としては『ハンティング』の後になるのかな?ウィルと医師サラとの関係の変化やフェイスの身辺の変化も描かれている。誘拐事件そのものと平行して、彼らの人生、人間関係の推移を追っていくのがファンの楽しみなのだろう。ただ、多分著者の登場人物それぞれへの思い入れが強くなりすぎたのか、この人とこの人の関係引っ張りすぎじゃない?とか、このくだりそんなに文字数いります?みたいな部分が目立つようになってきてしまった。事件の展開を早く知りたいんですけど・・・。
 邦題の「ペナルティ」とはなかなか皮肉というか、ある人たちにとっては酷な言葉だと思う。それをペナルティというのなら重すぎるだろう。客観的に見たらだれが悪いというわけではないんだろうけど、当事者としてはあいつが悪いと責め立てずにおれない/自分が悪いと自責せずにはいられないようなものなのだ。このシリーズ、払わなくていいはずの(一方的に課された)ペナルティを払う話ばっかりな気もするけど。

血のペナルティ (ハーパーBOOKS)
カリン スローター
ハーパーコリンズ・ ジャパン
2017-12-16


ハンティング 上 (ハーパーBOOKS)
カリン・スローター
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2017-01-25