音に反応して人間を襲う存在によって、人類は滅亡の危機に瀕していた。エヴリン(エミリー・ブラント)とリー(ジョン・クラシンスキー)夫婦、娘のリーガン(ミリセント・シモンズ)と息子のマーカス(ノア・ジュプ)は音を立ててはいけないというルールを徹底し、森に囲まれた農園でひっそりと生き延びていた。リーガンに聴覚障害がある為に元々手話でコミュニケーションを取っていたのだ。しかし彼らにも危機が迫る。監督はジョン・クラシンスキー。
 「音を立ててはいけない」というワンアイディアを膨らませたスリラーだが、勢いがありとても面白かった。冷静に考えるとどのくらいの音量ならアウトなのか、敵の聴覚はどのくらいの精度なのかという設定が結構曖昧なのだが、勢いよく話を転がしていくので見ている間はそれほど気にならない。伏線の提示が非常に分かりやすく、話を転がす為の設定がやや鼻につく(裸足でいるところとか)のだが、あざというというよりも不器用故に伏線の敷き方が目立ってしまうという感じだった。「音を立ててはいけない」という一点突破で、下手に話を広げすぎなかったところも勝因だろう。
 音を立てたら死ぬという状況下で子供を産もうというのが本作の設定で一番どうかしている所だと思うのだが、サスペンスの舞台装置としてはスリリングだしこの先どうするの?!という予想のつかなさもある。これに限らずラストに至るまで、全ての設定をスリラーの装置として機能させようという作品に想えた。そこが鼻につくと言えば鼻につくかもしれないが、手堅いし上手い。
 両親が子供にかける思い、子供の親兄弟に対する思いが深くしっかりと描かれているので、設定が単なる装置で終わらず、登場人物たちのキャラクターが浮かび上がっている。リーとリーガンのすれ違いは、聴こえる/聴こえないという立場の違いが生んだものでもあるが、過去のある事件に対する双方の後悔のすれ違いが生んだものでもある。親は子供にはとにかく生き延びてほしい、安全でいてほしくて色々やるわけだが、子供にはそのへんがいまひとつ伝わらないのだ。リーガン役のシモンズは『ワンダーストラック』(トッド・ヘインズ監督)でも好演だったが、今回も良い。親子の描き方がしっかりとしているので、安っぽいドラマには見えなかった。
 なお、撮影がなぜかとても良くて、秋の光が美しい。森の情景がいい!光の加減でちゃんと季節がわかる。

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