パリで暮らす31歳の女性ポーラ(レティシア・ドッシュ)は10年付き合った恋人に振られて家を追い出され、お金も仕事もない。恋人の飼い猫ムチャチャを道連れに安宿や友人の家を渡り歩いていた。ようやく住込みのシッターの仕事を見つけ、ショッピングモールの下着店でも働き始めるが。監督・脚本はレオノール・セライユ。第70回カンヌ国際映画祭カメラドール受賞作品。
 ポーラのじたばたする様、自分をコントロールしきれずあとからあとからボロが出る様はかっこ悪いしみっともないのだが、何だか嫌いになれない。むしろ映画の女性主人公としては新鮮で引きつけられた。お友達にはあまりなりたくないタイプだが、どうかすると応援したくなってしまう。
 この嫌いになれなさ、ポーラの行動が「この年齢の女性ならこうするべき」「この年齢の女性ならこうあってしかるべき」という社会規範をガン無視しているところに所以するのかもしれない。ポーラは31歳で、世間的には仕事もし社会性も常識も備えているはずの立派な大人と言えるだろう。でも恋人に締め出されて泣きわめくし、猫は勝手に連れて行くし、まともに働いたことがない(学生時代に講師だった恋人と出会い、実家が裕福、かつプロカメラマンとしてブレイクした彼に養ってもらっていたらしい)。採用面接での彼女の受け答えは挙動不審かつ嘘ばかりだし、シッターのアルバイト先では「もっと若い人かと思ったわ」と雇い主に言われてしまう。シッター先の子供からも大人というよりも仲間扱い。やりたくないことはやりたくない、出来ないことは出来ない、欲望には忠実でいるという彼女の生き方は、正直と言えば正直。周囲には嘘ばかりつくが、自分には正直だ。
 恋人は彼女に成長しろ、成熟しろと言うのだが、そもそも成長や成熟って何だ?というのが彼女の言い分ではないか。彼女の行動には計画性はなく行き当たりばったりで、この手の話にありそうな「成長」や「気付き」を得る気配も希薄。唯一、疎遠だった母との関係が気持ち改善されるが、それも修羅場を経てだし(31歳はなかなか親と物理的に格闘ってしないから・・・)、結果も曖昧。そのなるようにしかならない、「大人」というカテゴリーでひとつにくくれない感じが時代の気分と合ってたように思う。

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