エレナ・フェッランテ著、飯田亮介訳
 1960年代ナポリ。若く美しいリラは裕福な商人と結婚したが、結婚生活は決して愉快なものではなかった。一方“私”エレナは高校に通い続け進学も考えるが、家計は厳しく将来は見えず、やはり苦しい毎日を過ごしていた。療養をかねて海辺に滞在することになったリラは、強引にエレナを同行させる。2人の女性の人生を描く世界的ベストセラーの2作目。
 前作『リラと私』では2人の子供時代が描かれたが、本作ではリラの結婚以降、2人の10代後半から20代を描く。リラの早すぎた結婚のその後の展開には、全読者があーやっぱりね!と思うだろう。リラの誇り高さや苛烈さを夫が理解していたとは全く思えないのだ。おそらくリラ自身もわかっていなかったのだろう。この時代、この地域で結婚するということが女性にとってどういうものなのか、痛感させられる部分が多々出てくる。夫の、家の所有物でしかないのだ。
 リラは何でも器用にこなし、店の経営もお手の物なのだが、このくらいじゃ収まらないんじゃないかという予感を感じさせる。エレナはそんなリナを時にもどかしく思い、時に自分の方が今は物を知っている、賢いのだと密かに優越感を抱く。しかし勉学や世の中の動きに興味を失っていたはずのリナは、時に非常に鋭い洞察を見せエレナを打ちのめす。また、大学進学後の地域的なカルチャーギャップや元々文化的資産のある家庭に育った学生たちとの格差など、彼女のコンプレックスが刺激されっぱなしで辛い。しかし彼女にもある転機が訪れる。エレナとリナの人生は、エレナが思っていたほどには隣接していないのかもしれない。リナはエレナにとってどんどん未知の人になっていくようだ。

新しい名字 (ナポリの物語2)
エレナ フェッランテ
早川書房
2018-05-17