小学校4年生のアオヤマ君(北香那)は、毎日学んだことをノートに記録す勉強家。ある日、町にペンギンたちが現れる。海のない町にペンギンたちがなぜ現れたのかさっそく研究を始めたアオヤマ君は、仲良しのお姉さん(蒼井優)が投げたコーラの缶がペンギンに変身するところを目撃する。原作は森見登美彦の同名小説。監督は石田祐康。
 新井陽二郎によるキャラクターデザインはやり過ぎ感がなく、あざとすぎずイヤミがないもので見やすい。お姉さんの胸の造形に力が入りすぎ(サイズと重力感が生々しい・・・)な所、女児キャラクターのデザイン、演技が少々類型的な所は気になるが、全体的には悪くなかった。いわゆるおねショタ感がすごくて大丈夫なの?とちょっとひくくらいなのだが、絵の方向性がニュートラルでそれほど偏執的ではないのでなんとか一般向け作品として着地している印象。声優陣もバランスが良く、特にお姉さん役に声が低めの蒼井をあてているところはよかった。また釘宮理恵によるウチダ君は白眉だと思う。私は釘宮さんの少年演技が好きなので・・・。また、アオヤマ君の父親役が西島秀俊なのだが、なんというか、心のないイケメン感とでもいうようなニュアンスがじわじわくる。すごい美形というわけではないが妙に生活感が希薄で、不思議な個性の人だよな・・・・。
 この映画がというよりも原作込でなのだが、SF的な側面やいつかは終わる夏休みのもの悲しさ、寂しさのニュアンスは涼やかで良い。ただ、おっぱい推しはちょっと勘弁していただきたかった。アオヤマ君はお姉さんのおっぱいに興味津々(多分彼女が初恋なのだ)で、それは別にかまわない。かまわないのだが、アオヤマ君のお姉さんに向ける視線が一貫して性的なものなので、落ち着かないのだ。子供が大人の女性を性的に見ているから、というのではなくて(これは多分に原作の問題だが)、子供が主体であればこのくらいの性的ニュアンスは微笑ましいでしょ?むしろかわいいでしょ?という作品の建て付けの甘え、油断に少々辟易とするのだ。アオヤマ君が(主に男性)視聴者にとっての「あらまほしき科学少年」として造形されているだけに、より鼻につく。男子のスケベ心は微笑ましいという慣習、いい加減ダサいからやめませんか・・・。性的に見られ続ける側の意識に全然触れられていないのはきつい。

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)
森見 登美彦
角川書店(角川グループパブリッシング)
2012-11-22

台風のノルダ DVD通常版
野村周平
東宝
2015-08-19