石井千湖著
正岡子規と夏目漱石、室生犀星と萩原朔太郎、中原中也と小林秀雄。深い友情、あるいは腐れ縁で結ばれた文豪たちの交友関係を紹介する。
有名どころから意外なところまで(と言っても日本文学に詳しい人なら大体知っているんだろうな・・・)、文学者2人の関係性にスポットを当てた一冊。佐藤春夫と堀口大學、室生犀星と萩原朔太郎(朔太郎の手紙はかなり恥ずかしい・・・)らの関係は相思相愛友情とでもいうべきで双方の思いのベクトルが拮抗している感じ。美しい友情と言えるだろう。一方、石川啄木と金田一京助、太宰治と坂口安吾らなどは、こいつ才能はあるのにしょうがない奴だ、面倒くさい奴だと思いながら捨て置けないという関係性で、これもまた友情だなとしみじみする。ダメな部分、かっこ悪い部分込みで人間の可愛さが垣間見える。借金王の啄木など身近にいたらかなり迷惑なんだろうけど・・・。愛憎入り混じる濃い関係だった中原と小林、また谷崎潤一郎と佐藤春夫などはスキャンダラスな面ばかりが有名になってしまっているが、お互いがお互いの作品に対する深い理解者だったからこその深すぎる関係だろう。谷崎と佐藤がお互いの人生に関わり続ける様は、実生活を恋愛小説に仕立て上げ共同制作しているようなものという指摘にはなるほどと。友情愛情ありきのことではあるのだろうが、お互いに監視し合い続けるような関係は普通の神経では耐えられなさそうだけど。本著でとりあげているのは男性文学者だけなので、女性バージョンも読んでみたい。