キューバの老ミュージシャン達のセッションを記録したヴィム・ベンダース監督のドキュメンタリー映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』から19年。現メンバーによる最後のツアーを追った新作ドキュメンタリー。ヴェンダースは製作総指揮に回り、監督はルーシー・ウェーカーが務めた。
 映画の制作・公開は1999年、日本での公開は2000年だから、前作見たのは18年前か・・・。時間が経つのが速すぎて茫然とする。映画は見たし、サウンドトラックも買ったし、この映画がきっかけでライ・クーダーの音楽を知った。彼らの音楽を聴くと懐かしい気分になるが、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ自体はずっと現役で活動を続けているわけで、懐かしいとかそういうものじゃないよな。
 前作に比べると幾分センチメンタルな雰囲気だ。監督が変わったからというのも一因なのかもしれないが、19年間のうちに主要メンバーの多くが亡くなっているというのが大きい。前作の時点で皆さんそこそこ高齢だったので、しょうがないといえばしょうがないのだが、やはり切ない。しかしその一方で、現メンバーの孫が新規加入していたりと、新しい動きもある。世代交代しつつ音楽は受け継がれていくのだ。
 前作ではあまり触れられなかった、個々のメンバーの人生やその時代背景にもスポットが当たる。これまでの彼らの歴史を振り返ると共に、キューバという国の変遷を垣間見た感もある。なにしろ、前作から本作までの間にアメリカとの国交回復してるんだもんなー(オバマ前大統領も登場する)!前作のツアーではアメリカでの公演もあったけど、あれは本当に大変だったんだな・・・。
 ボーカリストであるイブライム・ウェレールの人生が実に心に残った。バックコーラスとしてキャリアを積んだが運に恵まれず無名のままで、ブエナ~から声がかかった当時は靴磨きをして生活費を稼いでいたそうだ。それが70代でまさかの大ブレイク。彼がステージ上にいると場のまとまりがよくなるような、人柄の良さがにじみ出ていた。また同じくボーカリストであるオマーラ・ポルトゥオンドが前作のワールドツアーの際、盛り上がる観客に対し、この曲で踊れるなんて、私の母の苦労等知らないのに・・・と漏らす言葉が印象に残った。聞く側にとって外国語の曲って、歌詞の内容とちぐはぐな盛り上がり方をしてしまいがちかもなぁと。

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
オマーラ・ポルトゥオンド
ライス・レコード
2008-06-01