大島志乃(南沙良)は吃音があり、高校入学早々、周囲と馴染めず苦しんでいた。ある日、同級生の岡崎加代(蒔田彩珠)と校舎裏で出会ったことをきっかけに、親しくなっていく。音楽好きの加代は志乃にバンドを組もうと持ちかける。夏休み中、「特訓」に明け暮れる2人だったが。原作は押見修造の同名漫画。監督は湯浅弘章。
 脚本が『百円の恋』の足立紳だというし、なんだか評判がとてもいいので、自分の守備範囲外の作品かなーと思ったが見てみた。結果、見て本当に良かったが痛々しくひりひりする。私は自分が学校嫌いだったこともあって、学校が舞台の映画を見るといつも苦しくなる。本作の冒頭、志乃が鏡に向かって自己紹介をするくだり、そして新しい学級での自己紹介で吃音が出てしまうくだりはしみじみ辛かった。ああ今回もまたダメだった・・・という無力感にやられそう。自分の居場所がここにはないということを思い知らされるのだ。特に悪意もなく彼女の吃音をネタにする同級生の菊地(萩原利久)には殺意が沸きそうになる。
 志乃は喋るのは苦手だが歌だとすんなりと声が出る。対して加代は音楽好きでギターの練習をしているが、実は音痴。2人が補い合うように音楽を楽しみ、歌う姿はキラキラとして眩しい。本作、舞台はおそらく90年代で(にもかかわらず作中、書店にオンラインゲームを題材にした本が展示してあってちょっとがっかり・・・)、加代がウォークマンを愛用しているのも、部屋にあるCDやポスターも、2人が歌う歌も、懐かしかった。自分が高校時代に聞いていた、カラオケで歌った曲を2人が歌っているというのが何とも言えずぐっとくる。まさかFlamingLipsの名前がこの映画に出てくる(音楽は使われていないが)とは思わなかったが。
 しかしこのキラキラは儚く脆い。加代との世界を大事にする志乃には、菊地が関わってくることが耐えられないのだ。菊地もまた志乃たちとはちょっと違う浮き方をしていて、居場所を見つけようと必死ではあるのだが。3人ともそれぞれ苦しさを抱えているものの、志乃の苦しみは友人である加代にも深くは共有できないものだろうし、母親ですらよくわかっていない。自分から逃げられない、どうあっても自分でしかない、それは友人が出来たり歌ったりしても本質的には変わらないのだというどうしようもなさが、学園祭での志乃の「なんで!」という叫びに込められているように思った。この先一生、このどうしようもなさと付き合っていかなくてはならないというしんどさ。この部分、ちょっとモノローグで処理しすぎなきらいはあったが、「なんで自分なんだ」というやりきれなさはひしひしと伝わる。


cult grass stars
ミッシェル・ガン・エレファント
日本コロムビア
2009-03-18