和田博文編
星モチーフの小説と言えば外せないであろう稲垣足穂『星を造る人』、宮澤賢治『よだかの星』。天体観測にちなんだ森繁久彌や中村紘子のエッセイ。宇宙を想う谷川俊太郎の詩や埴生雄高の評論など、星にまつわる作品36篇をあつめた文学アンソロジー。
アンソロジーの面白さは、普段なら手に取らない作家の作品や全く知らなかった作家の作品、また、この人こんな作品書いていたのか!という意外性と出会えるところにあるだろう。本作はそんなアンソロジーの楽しみを十二分に味わうことができる。三浦しをんや川上未映子など現代の作家のものから、川端康成や内田百閒など古典作品まで、また小説家だけでなく歌人や歴史学者、批評家などの幅広い作品がそろっている。個々の作品だけでなく編集者の力量を実感できお勧め。個人的には、森繁久彌のエッセイ『ハレー彗星』がユーモラスで楽しかった。文才もある人だったんだなー。また宮本百合子『ようか月の晩』は正に夜と星のイメージに溢れた美しい童話。これも、この人こういうの書いてたんだ!という意外さがあった。


天体嗜好症: 一千一秒物語 (河出文庫)
稲垣 足穂
河出書房新社
2017-04-06