カリン・スローター著、多田桃子訳
 高級住宅地にある邸宅で、少女の遺体が帰宅した母親によって発見された。母親はその場にいた血まみれの少年と鉢合わせし、乱闘の末、彼を刺殺してしまう。捜査担当になったジョージア州捜査局特別捜査官のウィル・トレントは少女の父親・ポールと面識があった。遺体を見たポールはこれは娘のエマではないと断言する。遺体は誰なのか、そしてエマはどこにいるのか。ウィルは地元の警官フェイスと組んで捜査を開始する。
 凄惨、かつタイムリミットが刻一刻と迫るタイプの事件で緊張感は強い。その割には話があっちに行ったりこっちに行ったりする印象があり(犯行を複雑にしすぎな気が・・・)、いよいよ終盤というところでちょっと集中力が途切れてしまった。各登場人物の造形に膨らみ・背景があり、行動原理に不自然さがないのだが、その造形の膨らませ方が仇になっている気もする。ディスクレイシア(読字障害)を抱えているウィルには虐待を受けていた過去もあり、本作の事件の背景にあるような事象は、単なる事件の背景以上の意味合いを持ってくる。彼には婚約者や仕事のパートナーもいるが、彼の背景・過去について分かち合えるわけではなく(当人もそれを望まず)孤独であるように見える。その孤独さが事件の解明につながってくるというのが皮肉だ。

砕かれた少女 (マグノリアブックス)
カリン・スローター
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2017-04-25


罪人のカルマ (ハーパーBOOKS)
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2018-06-16