アリゾナ州プレスコット市の森林消防団で隊長エリック・マーシュ(ジョシュ・ブローリン)は、長年の経験を活かし火災対策に奔走しているが、アメリカ農務省の“ホットショット(精鋭部隊)”には「市レベルの消防隊員」と小馬鹿にされてしまう。自分たちのチームを“ホットショット”として市に認めさせることがマーシュの悲願だ。一方、麻薬に溺れる青年ブレンダン・マクドナウ(マイルズ・テラー)は別れた恋人が自分の子を妊娠していることを知る。動揺して彼女に会いに行くものの、子供は自分と家族で育てると拒絶される。マクドナウは子供の為生活を立て直そうと、森林消防団への入隊を希望する。監督はジョセフ・コジンスキー。
 実在の森林消防隊、グラニット・マウンテン・ホットショットの活躍を映画化した作品。森林消防団がどういう仕事をしているのかという面で新鮮だった。マーシュたちのチームは元々、地方自治体の一団という位置づけだったので、農林省森林局の特殊チームであるホットショットには格下に見られてしまうというわけだ。このあたりの事情を事前に知っておくと、マーシュと消防署長や市長とのやりとりがどういう意味合いのものか、よりわかると思う(予習してから見るべきだった)。グラニット・マウンテン・ホットショットは2008年、アメリカで初めての地方自治体によるホットショットとして認可された。本作は彼らがホットショットとして認められるまでと、その後の活躍を描いている。
 本作のもう一つの主役は山火事、炎そのものだろう。もちろんCGを使っているが、実写部分も相当あるそうだ。撮影が大変美しく、禍々しいと同時に引き込まれる。マーシュは消防団として奔走しているが、炎に魅入られているという面も相当あるのではと思えてくる。また、壮大な森林風景も美しいのだが、美しいと同時にこれ全てが炎の燃料となるということでもある。美しさと禍々しさが表裏一体な世界だ。予告編のノリからは脳筋体育会系ノリのスペクタクル作品かと思っていたし、確かにそういう面も強いのだが、意外と詩情と陰影がある。いい意味で期待を裏切られた。
 一見大味なようで陰影が深いという要素は、登場人物の造形にも見られる。マーシュと妻アマンダ(ジェニファー・コネリー)は見るからに円満でお互いの仕事やライフスタイルに対する理解もあるように見える。しかし、ちょっとした言動から、実はそうでもなく段々ずれが生じているらしいこと、そしてそれぞれ過去にはかなり大変な時期もあったらしいことがわかってくる。このあたりのニュアンスのこれみよがしではない所は節度を感じた。大味な作品かと思っていたら、様々な部分で抑制が効いており好感を持った。実話が元なので、変に感情・感動を煽るような演出は避けたのかもしれない。やっぱり映画は実際に見てみないとわからないものね。

鎮火報 (双葉文庫)
日明 恩
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2010-11-10


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