メキシコのリゾート地バジャルタに住む姉妹。17歳の妹バレリア(アナ・バレリア・デセリル)は、同い年のボーイフレンド・マテオ(エンリケ・アリソン)との子供を身ごもっている。そこに長年別居していた母アブリル(エマ・スアレス)が現れる。バレリアと新たに生まれた彼女の娘カレンの世話に奔走しているかに見えたが。監督はミシェル・フランコ。
 アブリルは母親として登場し、いかにも母親らしい振る舞いを強調していく。最初はバレリアも彼女を頼るし、3世代の女性達の共同体が作られているかに見える。しかし徐々に、アブリルの母親然とした言動には、支配的な側面もあることがどことなく感じられる。特に長女クララ(ホアナ・ラレキ)の体型と食生活に対する発言は、さりげないのだがこれってモラルハラスメントに当たるのでは?と見ていて気持ちがざわつく。アブリルは長女の健康とルックスを心配している体で言うのだが、自分の価値観に一方的に当てはめているということでもある。あの状況で病院に連れて行かれたらショックだし傷つく(そもそも病院に行くほどの問題には見えない)と思うんだけど・・・。クララが家庭内で、妹のバレリアからも蔑ろにされている様子が冒頭10数分でわかってしまう(バレリアの無頓着さは、そういう人だからというよりも相手がクララだから、侮っているからだろう)ので、その上でアブリルの言動を見ると更にいたたまれない。
 アブリルの支配力はクララを侵食し、バレリアとマテオにも及んでいく。彼女の行動はやたらと思い切りが良い。そして一見、「母親として当然」であるかのように装われている。バレリアとカレンに対する行動は、未成年だし止む無し、という側面もあるにはある。しかし問題なのは、バレリアへの意思確認や彼女との話し合いが全く行われない、ひたすら一方通行だということだ。アブリルの行動は結局アブリルの欲望に基づくもので、一方通行なのも当然だ。彼女の行動=欲望が加速していく様に唖然としつつ、これって「母」要素はあまり関係ないなと思った。アブリルがアブリルだから、というのが正しい所で、母という要素の方が後付だろう。仮に母親じゃなかったとしても、アブリルはこのような行動をする人なのだと思う。そういう意味では邦題はミスリードなのだが、ラストで「母」はアブリルだけではなかったとはっとする。母と言う名の女は、彼女の方だったのかと。

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