自殺した母との生活を綴った私小説がベストセラーになった作家デルフィーヌ(エマニュエル・セニエ)。スランプ中の彼女の前に、熱狂的な読者だというエル(エヴァ・グリーン)が現れる。聞き上手なエルにデルフィーヌは信頼を寄せるようになり、やがて同居を始める。しかしエルは徐々にデルフィーヌの生活を支配するようになり、不可解な行動を見せ始める。原作はデルフィーヌ・ドゥ・ヒガンの小説『デルフィーヌの友情』。監督はロマン・ポランスキー。脚本にオリヴィエ・アサイヤスが参加している。
 エルの仕事はゴーストライターなのだが、ポランスキー監督にはそのものずばり『ゴーストライター』(2011)という作品があった。誰かに成り代わる、誰かを作り上げるというシチュエーションに惹かれるのだろうか。本作ではエルがデルフィーヌを助けるが、その援助がだんだん支配的になる。デルフィーヌもエルへの依存が強まり、「一心同体ね」という台詞が笑えない。しかしそこからのまたひとひねりがあるのだ。私は原作小説は未読なのだが、原作小説ではこういう形式、こういう演出で書かれているのではないかなという匂いみたいなものが感じられる映画だった。ただ、その演出は小説ならではのもので、映像化にはあまり向いていなかったのではないかなとも。映画としては、どこかつっけんどんというか、唐突な印象を受けた。
 近年のポランスキー監督作は妙に額面通りというか、切ってそのまま出す、みたいな組みたて方に見える時があり、そこが逆に面白い。不思議な大雑把さがある。本作でも、こことここの間にストーリー上結構展開があったのでは?とか、そこあっさり台詞で説明しちゃうの?とか気になった。エルが聞き上手であること、デルフィーヌと彼女の作品を深く理解していることはデルフィーヌがそう言っているという所からしかわからないし、デルフィーヌがあまりに不用心(PCのパスワードあっさり教えないで!)。そういうディティールは不要と判断するというところが、何だか面白い。とは言えエヴァ・グリーンがエルを演じているので、これはふらっとパスワード教えちゃうし同居しちゃうわ・・・という気分にはなるかも。

デルフィーヌの友情 (フィクションの楽しみ)
デルフィーヌ ド・ヴィガン
水声社
2017-12-15


ゴーストライター [DVD]
ユアン・マクレガー
Happinet(SB)(D)
2012-02-02