砂漠地帯でのテロリスト暗殺に失敗したアメリカ兵マイク(アーミー・ハマー)は、相棒のトミー(トム・カレン)と共に多数の地雷が埋まるエリアに足を踏み入れてしまう。トミーはマイクの目の前で死亡、マイクも地雷を踏んで一歩も動けなくなってしまう。援軍が到着するまでの52時間、彼は何とか持ちこたえようとする。監督はファビオ・レジナー&ファビオ・ガリオーネ。
 ワンシチュエーションサスペンスという括りになるのだろうが、1ネタ勝負作と思って見たら意外な味わいがあった。地雷を踏んで動けないという状況そのものよりも、その状況から沸き起こるマイクの内省、マイクの過去とトラウマの方が前面に出てくる。「踏んで一歩も動けない」という状況自体が、彼のこれまでと、今の内面を象徴しているのだ。優秀な狙撃手らしいマイクが、なぜ最初にあんなに狙撃をためらったのかというのも、ジェニーに連絡しろと言われると歯切れが悪くなるのも、彼がやってしまったこの延長線上にあるのだ。過去の断片はちらちらと提示され、徐々に全体像が見えてくる。彼にとっての「踏む」「ひざまづく」という姿勢の意味合いがクライマックスに向け重なっていくのだ。
 マイクの内省という側面が強く、ファンタジーや寓話の方向に物語の見せ方がひっぱられがちではある。作中のリアリティラインの設定があやふやになりがちで、そこで賛否が割れそうな気がした。ただ、マイク個人の物語として見ると、悪くなかったなと個人的に思う。自分ひとりでどうにかせざるを得ない問題だとマイクは思い込んでおり、確かにそうなのだが、彼を待っている人が確かにいるのだ。ハマーのほぼ一人芝居といってもいい作品だが、ちゃんと間が持つ。ルックスのパーフェクトさにばかり注目されがちだけど、スキルがあるんだよな。

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