映画監督との不倫で騒がれ、ソウルからハンブルグに逃げてきた女優ヨンヒ(キム・ミニ)は、恋人を待ちつつ後悔に苦しむ。数年後、韓国のカンヌンに戻ってきたヨンヒは、旧友たちと再会する。監督・脚本はホン・サンス。
 またしても「絶対混ざりたくない飲みの席」シーンがある!しかも2回!先日見た『それから』はわけありカップルに巻き込まれた部外者としての居心地の悪さのある飲みの席だったが、今回は色々な意味で昔馴染みの宴席。なまじ関係性が濃いからこそいたたまれない。ヨンヒもそこそこ酒癖が悪く、絡み酒で周囲をちょっと困らせるのだが、彼女は絡まずにいられないしんどさを抱えている。それを周囲も察しているからこそ余計にいたたまれない。特に2度目の宴席、1度目とは面子が違うのだがそこに混ざりたくない度合いは1度目の比ではなかった。ここまでこじれる前に決着つけてよ!と思わずにいられない。とは言えヨンヒの苦しさは、自分一人で決着をつけるしかないものだ。彼女が抱える問題を迂回しつつも、最終的にそこから逃げないからこそラストが清々しい。
 再会した男性の先輩2人のヨンヒに対する態度が、結構失礼な気がした。いきなりそんな立ち入ったことを聞くの?とか、何で自分を無視したんじゃないかとか言うの?と。これは意識的に彼らを失礼な人として描いているのか、それとも彼らの文化圏の男性先輩としては平均的な態度なのか、ちょっとよくわからない。年齢による上下関係をうっすら醸し出してくるのが何かイヤなんだけど・・・。対して、年上の女性2人、ハンブルグの先輩もカンヌンの先輩も好ましく、こういう女性っていいな、信頼できるな(特にハンブルグの先輩)と思った。2人ともヨンヒのことを気遣っているが、立ち入りすぎないところがいい。
 途中、これは何なの?!という展開がある。ハンブルグの浜辺でのラストショットと、カンヌンのホテルのベランダのシークエンスだが、いきなりリアリティラインがずるっとずれこんだような気持ちの悪さでインパクトがある。特に浜辺でのロングショットは、この為にヨンヒに白いパンツをはかせたのか!と唸った。忘れられない。

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