石油王として富豪となった実業家ジャン・ポール・ゲティ(クリストファー・プラマー)の17歳の孫ポールが誘拐された。母親ゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)の元に1700万ドルの身代金を要求する電話がかかってくるが、ゲティの息子と既に離婚しているゲイルにはそこまでの財力はない。しかしゲティは支払を拒否する。監督はリドリー・スコット。
 リドリー・スコットは自分の趣味に走らずに、職人に徹した方が(私にとっては)見やすい作品撮るんじゃないかなー。もうエイリアンシリーズはいいから本作みたいな邪念の表面化してないやつをお願いします・・・。スピーディな展開で、段取の良い映画という印象を受けた。作中で起きている事件は決して段取のいいものではないという対比が(ストーリー上の対比ってわけじゃないけど)妙に面白かった。事件の段取の悪さが犯人グループによるものではなく、ほぼイタリア警察(憲兵隊)の初動捜査のまずさ、見込みの甘さから生じるものだというのが、脱力感を煽るし逆に生々しい。焼死体の確認など、いくらなんでもそれはないだろう!と思ったけど、実話が元になっている話だそうだから、本当なのかな・・・。だとしたら、そりゃあゲイルも、交渉人のチェイス(マーク・ウォールバーグ)も怒るだろう。
 本作、画面の色合いをかなり調整している。舞台と、どの人が中心のパートかで色合いが違うので、話の展開が速くてあっちに行ったりこっちに行ったり(実際、物理的な移動の多い話だ)してもわかりやすい。誘拐犯たちのパートが一番温かみのある明るい色調だというのが(屋外シーンが多いからなのだろうが)皮肉だ。対してゲティの屋敷内は、ぎりぎりまで彩度を抑えたモノクロに近いような色調で、冷ややか。ゲティの不可思議な人となりを感じさせる。それぞれの行動の指針に関しても、犯人側の方が単純明快でビジネス的。ゲティのものは、おそらく彼の中では明確な基準があるのだろうが、他人には不可解なのだ。

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