ウサギのピーター(ジェームズ・コーデン)と仲間たちはマクレガー老人の庭の野菜を盗むことを日課にしている。ある日マクレガーさんが倒れ、家は空き家状態に。はしゃいで空き家を荒らしまくったピーターたちだが、マクレガー老人の甥トーマス・マクレガー(ドーナル・グリーソン)が引っ越してきて、ピーターたちを再び締め出す。しかもマクレガーはピーターの親友である隣人の画家ビア(ローズ・バーン)と恋仲になってしまう。ピーターは何とかマクレガーを追いだそうとする。監督はウィル・グラック。
 ビアトリクス・ポーターによる有名原作絵本とは全く方向性が違うので、ピーター・ラビットの名前に惹かれて見ると大分戸惑うと思う。ただ、あまりに突き抜けていて原作からの乖離が逆に気にならなくなってきた。むしろ、わざわざピーター・ラビットという超有名キャラクターを使ってこういう映画を作ろうとした度胸がすごい!何と闘っているんだ!と感心した。ウサギはチンピラ風だし、人間を本気で仕留めにくるし、爆撃戦(なぜか妙に本格的)まである。カトンテールのキャラクターなんて大分クレイジーだよ・・・。
本作、かなりなメタ構造になっており、登場人物たちもそのメタさに気付いているかのような発言をする所が面白い。ピーターが「そういうキャラ(付け)だから」と度々言うのもそうだし、動物たちが上着を着ているのに下半身は裸という所へのツッコミも。
 一方「おとぎ話ならこうなるところだけど、この話はそうじゃないから・・・」と言う(ピーターの両親の肖像画のくだりで)と同時に、最後に「これは“おとぎばなし”ですよ」という振りがあったりと、リアリティラインをどの地層に置いているのか、ナレーションは何目線なのか、語りの構造は曖昧だ。ピーターは制作が上手くいかなず不安定になっているビアのイマジナリーフレンドで、それがなぜかマクレガーにも見えてしまった、みたいな話にも思えてくる。ビアの方がマクレガーよりヤバい人なんでは・・・。

ピーターラビットの絵本 第1集
ビアトリクス・ポター
福音館書店
2002-10-01


ピーターラビットと仲間たち [DVD]
英国ロイヤル・バレエ団
クリエイティヴ・コア
2009-10-21