辻村深月著
チエミが母親を殺して行方不明になってから半年。幼馴染でフリーライターのみずほは、チエミの行方を追い、かつての級友や恩師を訪ねる。一見非常に仲の良い親子だったチエミと母になにがあったのか。
地元の幼馴染、かつての同級生という狭いサークル内の人間関係は、時に親密だが時に息がつまりそう。都会に出たみずほと級友との「その後」の人生のそこはかとないギャップや羨望が、感情をざらつかせる。この人は自分が思っていたような人なのかどうか、という対人関係における問いが、常に突きつけられるのだ。級友らだけでなく、みずほの家族についても、そしてチエミについても。チエミがみずほにとって、みずほがチエミにとってどういう存在だったのか、みずほ自身が自覚していく過程でもある。短い第2章がぐっと心に迫る。こういう人だったのか!とはっとするのだ。