ハーラン・コーベン著、田口俊樹・大谷瑠璃子訳
 元特殊部隊パイロットのマヤは、銃撃事件より夫を失った。友人からの勧めで、幼い娘の安全の為に隠しカメラを居間に取り付けるが、カメラの画像に映っていたのは死んだはずの夫だった。ジョーは本当に死んだのか。謎を追ううち、マヤは4か月前に殺された実姉クレアの死と、ジョーの事件との関連性に気付く。
 これは事前情報なしで一気に読んでほしいやつ!訳文の読みやすさも手伝い、ラストまで息をつかせず読ませる。マヤは非常に有能な軍人だったが、ある事件により深いトラウマを負っており、周囲からはジョーの映像は彼女の妄想ではとも疑われる。しかしマヤは迷いはするもののブレない。彼女のブレのなさの根拠は何なのかと言う所も含め、一転また一転と言う感じなので先を予想せず読んだ方が楽しめるだろう。マヤは母親であり(元)妻であるわけだが、それ以上にアイデンティティが一貫して軍人であり、軍人としての考え方、行動の仕方だというところも好みは分かれそうだが(つまりマヤを好きでない人もいるだろうなと)面白かった。優秀な軍人だったにしてはその行動間が抜けていない?という部分もちゃんと理由がある。

偽りの銃弾 (小学館文庫)
ハーラン コーベン
小学館
2018-05-08

ステイ・クロース (ヴィレッジブックス)
ハーラン・コーベン
ヴィレッジブックス
2013-09-20