ボリス・ヴィアン著、鈴木創士訳
 青年リーは兄の知人から本屋の仕事を紹介され、店に出入りする若者らと乱痴気騒ぎを繰り返すようになる。しかし彼にはある目的があった。白い肌の黒人である彼は、白人に殺された弟、虐げられる兄の復讐をしようとしていたのだ。彼は裕福な白人の姉妹に目を付ける。
 著者がアメリカ人を偽装して執筆、出版しベストセラーになった(訳者解説を読むと炎上商法ぽいな・・・)ものの発禁処分になった作品。過激な性描写(さすがに11,12歳の子供とセックスするのは糾弾されるだろう)が発禁の理由だったのだろうが、黒人が復讐の為に白人を殺すという内容が物議をかもしたという面もあったのだろう。その物議は、著者を本作執筆に駆り立てた差別への怒りと並行しているものだ。リーは軽妙で人あしらいが上手いが、その愛想の良さの下には、肌の色で他人を分別する者たちへの怒りと侮蔑が渦巻いている。お前ら間に入り込み、裏をかき、全て奪ってやるという意気込みと冷酷があり、罪悪感などは見せずに突き進む。疾走感のある悪漢小説として読める所もベストセラーになった一因か。

お前らの墓につばを吐いてやる (河出文庫)
ボリス ヴィアン
河出書房新社
2018-05-08


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ハピネット・ピクチャーズ
2004-11-05