綿矢りさ著
 26歳の江藤良香は経理担当の会社員。中学校の同級生(だが卒業以来会ったことがない)イチに延々と片思いを続け、恋愛経験はない。会社の同僚に熱烈なアプローチをされて付き合い始めるが、イチのことが忘れられない。良香は理想の恋と現実の恋との間で右往左往する。
 映画化されたものがとても面白かったのだが、原作はこういう感じだったのか!「映像化するとこうなるのか!」じゃなくて「文字化するとこうなるのか!」という本来とは逆の面白さを味わってしまった。とは言え良香の一人称で、彼女の妄想と現実に読んでいる側も振り回されていく所は同じ。小説の方が映画よりも客観的な感じがするのは、映画を見るより小説を読むほうが没入感が薄い(私にとっては)からかな。題名でもある「勝手にふるえてろ」という言葉の使い方が映画とは全然違うところも面白かった。そしてニがニでなく呼ばれる瞬間にはっとする。2人の関係がはっきり変わったことがわかるのだ。

勝手にふるえてろ (文春文庫)
綿矢 りさ
文藝春秋
2012-08-03


勝手にふるえてろ [DVD]
松岡茉優
Sony Music Marketing inc. (JDS) = DVD =
2018-06-06