岡田尊司著
 人間関係、親密さや信頼の度合いは人によって異なる。その根底にあるのが愛着スタイルの違いと考えられている。近年、人間関係の希薄さを指向する人が増加しているが、その典型は回避性パーソナリティと呼ばれるもので、これも愛着スタイルの一つのケース。愛着スタイルにはどのような分類があり、個人の性格・行動にどのような影響を及ぼすのか、愛着障害による問題にどのように対応するのか解説する。
 愛着スタイルは幼少時の母親との関係で形成されるというのが定説で、母子関係に適切な密着が保たれないと、成長過程で他人との深い関係を避ける傾向、新しいものへの挑戦等を避ける傾向が出てくるとのこと。愛着スタイルの差異、パートナーとの愛着スタイルとの相性により補完できるケースがあるというのは、対人上の問題が対人の中で解消されていくケースとして面白いなと思った。
 ただ、母子密着の必要を強調しすぎな気がした。その重要さは事実としてあるのだが、現代社会でそれを要求するのは酷だと思う。逆に母親のメンタルに問題出てきそうだし・・・。また、近代以前は母子の密着期間がもっと長かったという指摘については、本当にそうかな?と。確かに同じ場にいる時間は長かっただろうけど、母親は母親で家事や農作業に奔走していたんじゃないの?と。著者は近代以前に回帰しろとか母親は就業せず育児に専念すべきと言っているわけではないが、愛着障害の原因を母子関係に帰結させすぎると、母親に対する不要なプレッシャーになりそう。そもそも、人間てそんなに情愛豊かな生物なんだろうかという疑問もある。元々絆指向が希薄な人は一定数いて、これまで集団生活の中で生存出来ず淘汰されていったのが生存出来るようになったという面もあるんじゃないかなー。