空港に降り立ったイタリア人修道士ロベルト・サルス(トニ・セルヴィロ)は、迎えの車に乗る。到着したのは海辺の高級ホテル。このホテルで開かれるG8の財務相会議に、ロックスター、絵本作家と共にゲストとして招かれたのだ。しかしロベルトを招待した張本人であるIMF・国際通貨基金のダニエル・ロジェ専務理事(ダニエル・オートゥイユ)がビニール袋を被った死体となって発見される。ロジェに告解を依頼され、死の直前まで彼と対話していたロベルトは取り調べを受けるが、戒律に従い沈黙し続ける。監督はロベルト・アンドー。
 ロジェの死はまず自殺だろうと警察は判断するが、彼は翌日の会議で重大な発表をする予定で、その発表により発展途上国は大きな打撃を受けると予想されていた。そんな彼がロベルトに何を告解するというのか、ロジェの秘密が世界の経済状況に大きな影響を及ぼすのではとG8の面々は騒然とする。世界経済の揶揄する社会批判的な意図も込められた作品だと思うのだが、これがあまり上手く機能していないように思った。財務相会議で何が話し合われるのか、何が発表されるのかという部分が漠然としていて、彼らが何を懸念しなぜ騒いでいるのかがぴんとこないのだ。なので、なぜロジェから聞いた内容を話せとロベルトに対して執拗に強制するのか、不自然に感じてしまう。
 会議の前日の集まりなども妙に牧歌的だし、ロックスターと絵本作家が招かれた理由もわからない(絵本作家とカナダ代表は女性だが、セクシャルな存在としてだけ登場するようで、これだったらいなくてもいいんじゃないかなと)。具体的なディティールがふわっとしていて、抽象的になりすぎている気がした。ロベルトの存在自体が抽象的で、彼に伴う鳥や犬の使い方もファンタジー寄り。作品のリアリティラインがどう設定されているのか曖昧だ。
 ロベルトは当然宗教家として振舞うのだが、G8のアナリストたちの振る舞いも、別の宗教に属するもののように見えてくる。自分たちにとってはこちらが正しく、お互いすり合わせる余地がない。ロベルトが発言しないのはそういう戒律だからそこに交渉の余地はないのだが、アナリストたちにはそれが通じない。事態を収めるには黙って立ち去る他ないのだろう。ラストシーンが妙に可愛いのだが、やはりロベルトはアナリストたちとは別の世界の人のように見える。

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